グランベール 伊豆

開業から25周年を迎えたペンションから頂いたリニューアルの設計依頼。25年の間に来訪者の生活スタイルは移り変わり、加えてコロナ禍の影響で宿泊施設に対するニーズも大きく変わりました。この転換期にどのような空間づくりが良いのか、オーナーご夫妻とともに将来像を含めて、いろいろ考えていきました。
当初は5部屋あった客室を見直し、開業当初の部屋を1室残し、残りの4室は個々の空間が大きく取れるよう2室にまとめました。これにより客室というより「暮らし」に近い空間に生まれ変わり、よりリラックスして利用して頂け、オーナーの負担も軽減できることにつながります。また付加価値が増したことで、客単価が上がり、収益は以前より増えるように計画しています。

東京から2時間という立地の良さに加え、近年ではリモートワークの定着とともに移住者も増加していることから、二地域居住の予行の場としての長期滞在もできるように考えています。この地に暮らすという意味では、オーナーの人柄も大きいポイントの一つで、社交的なオーナーの存在は大きく、地域に幅広いネットワークを持っている安心感もあります。料理上手なオーナーシェフによる料理教室や、クラフト教室なども催すことも視野に入れ、様々なプログラムが実行できるよう全体の計画を進めました。また計画当初より木工職人のkinoworkshopさんの協力を得て、どんなデザインの家具を置けば良いか、サインやアイテムの色などをともに考え、統一感のあるしつらえとなるように配慮しました。
こうして「宿泊するだけの施設」にとどまらず、「地域に開いた施設」に生まれ変わったペンションは、伊豆に訪れる人たちへの窓口となるような場所となりました。1泊だけでは物足りない。そんな宿です。

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