つなぐ家

改修前は大きな和室が2つに納戸と長い廊下という間取りの平屋でした。南北に長いこともあり、西側の窓は常にカーテンが閉じられ、東側は掃き出し窓の廊下が続いていました。この廊下から間接的に採光をえるため、室内は薄暗くなってしまいます。また、北端には別棟で2階建ての個室が続きます。今回の改修は平屋部分にご夫婦の住まいを再構築することで、北側の別棟部分は、ひとまず現状のままとして、将来の家族構成の変化に伴い手を入れることとしました。
改修部分の解体とともに明らかになった基礎と構造躯体ですが、工事着手前の想定通り、補強が必要となりました。必要な箇所に基礎や柱を追加し、接合部には耐震性を高める金物を緊結しています。完成した内部からは伺えませんが、壁や天井の中は現行基準にあわせた、断熱、耐震改修を施しています。台所は「外を見て家事をしたい」という住まい手のご希望に沿って配置し、結果的にダイニングに背を向けるような配置となっています。小さいお子さんがいる場合はあまり採用しない配置ですが、家族構成が大人の場合、それぞれに居場所を作り、ほどよい距離感が心地よいのではと考えています。目線の先には窓があり、これまでの何倍も広く、明るく感じる空間にすることができました。
近くにお住まいだったので、頻繁に現場を見に来られたご家族。その分、工事中に具体的な使い方のイメージも膨らんだようで、引き渡しが終わってすんなりと生活に馴染んでおられる様子が印象的でした。