003 バリアフリー

バリアフリーという言葉はそもそも、お年寄りや体の不自由な方が安全に暮らせるように、身の回りの障害物をなくそうという意味で用いられていました。それがいつの間にか「段差の無いこと」のみを表す言葉として誤用されているのを良くみかけます。残念なことに「段差の無いこと」が全て正しいかのように乱用されて・・・。
この写真は「桜町の家」の居間~茶の間(和室)~台所の関係を写しています。居間と茶の間の間には20cmの段差を設けています。これは居間で椅子に座った目線や台所で家事をする目線と茶の間で座った目線を近付けるための工夫です。また、板の間で会話を楽しむ時に座りづかれた場合などに腰掛けることができるように配慮した工夫でもあります。他にも、板の間の空間と畳の空間を明確に分けるための意図(儀礼的な意味合い)もありました。
日常生活において、茶の間に上がるには一段上らなければいけない訳ですから、不自由と言われればそれまでかもしれませんが、危険性を伴うような段差ではありません。(一般的には最も危険なのは2cm未満の目に見えづらい段差だと言われています。)また、住宅は特定の人が住む建物ですから、(住まい手の了解のもとであれば)生活を豊かにするような段差は積極的に設けていくべきだと思っています。
最近、ユニバーサルデザインという言葉が流行っていますが、誤用・乱用されないことを願っています。(A)

003 バリアフリー” に対して4件のコメントがあります。

  1. 小郡 より:

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    同感です。お年寄りの場合、適当な段差にきっちり座ってしまって移動する方が安全で、負担がすくない場合はありだと思います
    ただし、だんだん年を重ね身体能力が衰えた際に、以前と同じように段差をこえようとしたりする場合があるので注意が必要です。
    年寄り程、年老いた自覚は基本的にありませんから・・

  2. miz-arch より:

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    そうですね。
    桜町の場合、比較的低目の段差設定(20cm)ですが、
    高齢になった場合、あるいは高齢者と同居する場合は、
    一段低めの置き階段が必要になると思います。
    ただ、ご指摘の「段差にきっちり座って移動」が一番だと思います。

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    はじめまして、robertoさんのブログからこちらを知りました。
    バリアフリーやユニバーサルデザインに限らず、
    「言葉の独り歩き」は、いくらでもあります。
    かつて、知的障害をお持ちの方々の施設で勤務していた時、
    「知的障害」に対しての誤解や偏見を解消するにはどうしようと
    考えたことがあります。
    現在、デイサービスの設置・運営主体としての事業準備中ですが
    「認知症」や「改正介護保険法」を正しく理解しようと勉強は欠かせません。
    正しい知識を習得することは、便利な世の中だからこそ
    とても難しいことだと思います。

  4. miz-arch より:

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    経営者一年生さん、こんにちは。
    ご指摘の通り、世の中「言葉の独り歩き」に囲まれています。
    また便利で安価なものが最善・最良であるような考えも横行しています。
    このブログは、住まい手の方々に正しい言葉・知識を認識して頂くこと、
    HPだけでは語りつくせない、私たちの設計方針を理解して頂くことを目的に開設しました。
    今後とも皆様のお役に立てばと思います。

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