010 能登ヒバ

石川県能登半島を産地とするヒバ(ヒノキアスナロ)です。地元ではアテと呼んでいますが、一口にアテといってもマアテ・クサアテ・カナアテの3種類あります。写真はマアテの立木ですが、見ての通りねじれて生えています。それだけに加工後のねじれも相当あります。学術的にヒバで総称されますが、(大枠では似ているが)全く別の気といって良いほど3種類の性質・光沢などは異なります。
もともと能登に生息していたのではなく、北前船の交易によって持ち込まれたものであるという説が有力だそうです。

ヒバはヒノキより堅く、耐朽性も高く、さらに殺菌性のあるヒノキチオールを含んでいてるので、シロアリ等の害に強いため、古くから土台や水廻りの材として使われてきました。産地を見て廻ると外壁に無節のヒバ板が惜しげもなく使われている住宅を良く見かけます。正直、私たちにとっては「贅沢!」としか言いようの無い光景です。しかも無塗装で使用されていますから、それだけ雨(湿気)に強い証なのでしょう。
私たちの設計する住まいでは、主に浴室の壁や天井の仕上材として使用しています。お風呂のお湯から出る湯気を吸い込んでヒバの何ともいえない良い香り(ヒノキ風呂の香りに近い)が浴室に充満しています。たいした手入れは必要としませんが、入浴後は必ず換気扇を一晩回すことをお願いしています。もっとも、ユニットバスでも換気扇を回すことは防カビ対策として重要ですが。(A)