065 ペレット・ストーブ

写真左手に見えるのは「桜町の家」に設置された「ペレット・ストーブ」です。
木粉を煙草のフィルターくらいの大きさに固めた「木質ペレット(小弾丸)」を燃焼させるストーブで、バイオマス・エネルギー(地球環境の中で循環して得られるエネルギー)の有効利用として注目されています。本製品はドイツ製で、電気の力を借りて燃料(ペレット)と空気を送り込み、暖めた空気を室内に供給しています。

住まい手と設計の打ち合わせをしていた際に住まい手から「ペレット・ストーブ」を設置したいのだが・・・」と相談されました。正直なところ勉強不足で始めて耳にする単語に「何ですか、それ?次回までに勉強してきます。」としか回答のしようがありません。宿題として持ち帰り、数日かけて調べた結果、長所と短所が見えてきます。薪ストーブと比べ燃焼効率が高いことや、自動供給と温度管理(正確には燃焼管理)が可能であることは魅力的ですが、薪ストーブよりもカロリーが低いことや機械仕掛けのため故障の可能性が否めないことなどは短所です。これを報告してもなお、設置に前向きだった住まい手の意向もあり、導入となったわけですが、機種の選定に当たっても住まいの雰囲気にあったものを探すのに苦労しました。あちこち調べた結果、写真で紹介したWAMSLER社の製品がきれいなかたちであることから採用となりましたが、設置にあたってはドイツ語との格闘などそれなりの苦労がありました。
薪ストーブの燃料は薪ですから、一般家庭で入手しようとしてもルートは限られてきます。それに引き換え、ペレットであれば国内でも安定供給できる地盤ができつつありますから、通販感覚で入手することができます。(この住まいの場合で年間900kg程度(15kgの袋で60袋)のペレットを消費しますから、それをストックするスペースも必要となってきます。)案外気軽に「火で暖をとること」を楽しめそうな気もしますが、ガラス面の掃除や毎朝の灰の処理などそれなりに苦労はあります。この住まい手のように「地球環境を考えて・・・」という気持ちが大事なのかもしれません。それでも欧米のように、もっと普及して欲しいものの一つです。(A)