073 借景

満天星(ドウダンツツジ)
ツツジ科ドウダンツツジ属の中庸樹で、(自然木の場合)樹高1~4m、枝張0.5~2mほどに成長します。花期は4月で壷型の白い花を垂れ下げます。
写真は11月の始め頃に撮影しました。私の机からは「黒い家」のお庭が見えるのですが、何気なく見た視線の先にあった生垣の美しさ(とりわけ季節感をいっそう強調するかのような、ドウダンツツジのより赤い葉)に、思わず仕事を忘れて見入ってしまいました。

「黒い家」は元々住んでいた家が、近くにある総合病院の拡張工事のために転居を余儀なくされ、新築することになった住まいです。新築される住まいには、それまでの住まい(大工さんの設計でした)にあった面影や記憶といったものは一切ありません。またこの場合は(移転しているので)建っている土地も違いますから、窓から見える風景も当然異なります。そこで、降って湧いた移転話に滅入っていた住まい手の気持ちを和ませるのに、以前の住まいの庭木をそのまま植え替えることにしました。なかでもドウダンツツジは父母ともに好きなようで、以前の住まいを取り囲むように生垣として植えられていました。最初は部分的でしたが、少しずつ増やしていったので気が付くと結構な量(長さ)になっていたように記憶しています。
かくして新しい住まいもドウダンツツジに囲まれることとなり、以前と同じように季節感を届けてくれるようになりました。また他の庭木たちも配置は異なりますが、以前よりすっきりとしたかたちで植え替えられ、住まいの中に美しい風景をもたらせてくれています。そして私たちには、(自分が手入れしないでも眺めることのできる)美しい風景(借景)を、御裾分けとして見せてくれているのです。感謝。(A)

073 借景” に対して2件のコメントがあります。

  1. aiarchi より:

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    私の実家の庭にもドウダンツツジが植えられています。母がことのほかお気に入りの様子です。花は本当に可愛らしいですよね。実家のドウダンツツジは1本だけですが、生垣となると見ごたえあるのでしょうね。庭を見ながら仕事が出来る環境はありがたいものです。

  2. miz-arch より:

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    ドウダンツツジは、お母さん世代に受けが良いということかもしれませんね(笑
    株立ちがきれいなので、aiarchiさんのご実家のように1本だけという植え方も楽しめます。私は生垣に見飽きているせいか、1本だけという方に魅力を感じます。

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