074 システムキッチン

写真は「月岡の家」のキッチンです。
こちらで使われているのは、CUCINA(クチーナ社/日本製)のシステムキッチンで、最もベーシックな仕様です。手前にはミーレの食洗器、写真奥のクックトップはナショナルのIHクッキングヒーターを使用しています。
その他、左手にはお手持ちの冷蔵庫と水屋を設置するスペースの他、随所に台所で使ういろいろなもの収納できるような工夫がしてあります。

システムキッチンの価格の大部分は面材(扉の材種)によって決定されます。その中で私たちは写真のようなベーシック)なタイプのキッチンをお勧めしています。プランニングしていく上で、キッチンが至るところから見え、面材が良く見えるということは稀ですし、居間に隣接した場合(ほとんどの場合が隣接しています)ただでさえ存在感があるのに、必要以上に目立ってしまうからです。そういった判断で必要以上に予算をかけないことを意識し、ベーシックなものを選ぶのですが、もちろん奥様方の強いご要望で上位グレードのものとなることもしばしばです。上位グレード=オプションと考えれば、住まい手が好みのものに余分に対価を支払うという、とても理解し易い図式が生まれ、そこには私たちの口を挟む余地はありません。
ところでシステムキッチンとは何を指すのでしょうか。もともとは、扉の開き方や幅や高さなどによって分類されたユニットを住まい手の好みに合わせて選んでいくことができるという意味から「システムキッチン」と呼ばれています。その組合せは一つのメーカーでも何億通りもあり、全く同じキッチンを使用している住まいは存在しないことになります。ところが実態としては、メーカーの推奨するいくつかのモデルプランの中から選択されているだけということも少なくありません。これでは私たちの考える住まい(全てが住まい手のためのオーダーメイドである)とは反することになります。そこで私たちは、全てのユニットについて自身で選択し、図面化していくことになりのです。通常の場合、こういった作業を行なうとビックリするような値段になってしまうのですが、幸い私たちのお願いしている方が安価に提供(施工)して下さるので、逆に安くてビックリするような価格で提案することができています。
住まい手は建物が竣工後、引っ越してから初めて新しいキッチンを使うことになるのですが、どの住まい手も以前から使っていたかのように上手に使いこなしておられます。それだけ綿密に打ち合わせをして、どこに何を収納するかということを予めイメージしているということなのでしょう。新しいキッチンで作られた初めてのごはん。住まい手にとって、とても印象深い食事の一時になることでしょう。(A)

木のはなし

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