082 屋根の雪

例年にない降雪のため、私たちの住まいの屋根にも沢山の雪が積もっています。ニュースでは4m近く積もった地域や雪下ろしをしている様子の映像をよく見かけるようになってきました。

写真の「黒い家」の屋根は瓦(一部太陽電池パネル)ですが、ある程度積もると自然に落下するので雪おろしまでは必要ありません。ただし、この落下が問題で、写真に見られるように軒下へ巻き込む形で落ちてきます。この際に、軒裏や壁面を傷めるので、私たちは雪の切れやすいディテールを用いたり、壁面保護の為に壁面をガルバリウム鋼板で仕上げるように設計しています。

屋根から雪を下ろすようなことを考えると、落ちた雪の処理や前述の問題、さらには落雪によって屋根の下にあるもの(人・車・植栽など)に与える影響が大きいので、写真のような雪止めを設置します。L型のアングル(型鋼)を用いたシンプルなものですが、既製品を用いるより確実に止めてくれます。
それでは落雪はどうして起きるのでしょう。

これは「白い家」の屋根を写したものですが、下の部分は氷状になっているのが分かると思います。積雪が長期化してくると、最初に積もった雪は住まいの中の熱を受け融けたり、雨水を吸い込んで氷のようになっていきます。そしてある程度の重量を持つと屋根面と雪の間にできた水の幕が滑りやすさを増幅し、落雪へと導くのです。

ちなみに「白い家」では最初の一年間は落雪の様子を伺うために雪止めは設置していませんでした。その際は屋根の下に1m以上の雪山ができていましたが、設置後の落雪は殆ど見られず、今年もまだ積もったままです。勿論、150kg/㎡×1.5mの積雪荷重(地域によって異なり、建築基準法による)に耐えうるようにつくられていることが前提条件です。ただでさえ周辺の除雪で疲れているのに、屋根の雪の分までとなると大変ですね。(A)

082 屋根の雪” に対して4件のコメントがあります。

  1. aiarchi より:

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    雪の降らない南国に住んでいます。屋根の雪止めのことはほとんど知られていません。屋根材のカタログ等を見ていても「あの突起は何だろう?デザインかな?」といった具合です。
    今年の大雪は、ニュースを見ていても、本当に心が痛みます。毎日休みなく雪かきや雪降ろしをしてらっしゃる方々のご苦労は、私の想像を絶するのだろうなあ・・・。
    雪国ならではの納まりのディテールの話、とても興味深いです。所変われば納まりも違う・・・・。その土地の気候風土にあった個々のディテールを考案出来るのも、設計事務所ならではですね。
    大雪の被害が、これ以上大きくならないことをお祈り申し上げます。

  2. miz-arch より:

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    さらに厳しい北海道の方は積極的に雪(あそび)を楽しんでいらっしゃいます。
    ああいう姿を見ていると、たくましいとか真似したいと憧れます。
    でも尋常じゃないこの冬の雪は、さすがにヘコタレました^^;
    それでも子供の為に「そり山」はつくりました。(ささやかな抵抗です)

  3. soe より:

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    私も雪の殆ど降らない地域に住んでいることもあり雪国ならではの工夫を初めて知りました
    こちら(九州)からみると雪は珍しいもので雪遊びやスキー等楽しいことや積もった雪は少し神秘的なもののように感じますが実際の生活はとても大変そうです・・・
    地域が変われば住まいの造りも全く違ってくるものなのですね

  4. miz-arch より:

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    私も雪の無い地域を求めて働き始めたのですが、気が付けば雪の降る地域に戻っていました(笑
    でも、外からの視点が増えたので良かったと思います。ですから暑い地域と寒い地域の住まいを融合させたような住まいづくりが当面の目標です。

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