096 ワークスペース

これは先ごろ竣工した「大泉本町の家」のキッチンからワークスペース方向を見た写真です。
この住まいではワークスペースの隣に子供室(写真右手)があり、ダイニング、ワークスペース、子供室の間は各々障子で仕切られています。写真のようにワークスペースと子供室は45cmほど高い位置にあり、障子を開くとリビングを含めた2階全体がワンルームとなるようになっているので、小さい子供がどこにいても親の目が届くような空間となっています。また、一段高くなったエリアの下部には12畳の収納(高さ1.35m)が隠されているので、当面は収納に困ることはないでしょう。

以前、ロフトの記事(049)で書いたように、私たちは住まいを設計する上で子供室の扱いを一時的なものとして考えています。ですから必要最小限の面積となる場合が多いのですが、この際に「子供室」=「寝室および身の回りのものを収納する空間」と捉え、学習スペースを別に設けています。この学習スペースとなる空間を主に「ワークスペース」と呼んでいますが、住まい手の構成によっては成人が使用する書斎スペースを指したり、趣味のための空間を指す場合もあります。
そもそも私たちの場合、ワークスペースは廊下などのつなぎの空間を利用して設けることが多いのですが、これは「つなぐ」という機能に限定された空間に別の目的を持たせることで付加価値を高め、限られた空間を有効に活用するための手法としているからです。
世間的には個室で勉強をする方が良いと言われていますが、学校や塾を始め、試験会場が個室である場合はありませんし、むしろ隣に誰かが居ても自分のペースで勉強できるようになるのではないでしょうか。加えて、集中力がついてくれたら言うことなしですけど、こればかりは個人差等もあるので検証のしようがありませんね。(A)

096 ワークスペース” に対して2件のコメントがあります。

  1. ムラ-ノ より:

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    試験会場が個室の場合はありません、とはユニ-クなご意見です。
    「親の心、子知らず」で、昔々、僕も6畳個室の勉強部屋で、笑福亭仁鶴
    や桂三枝の深夜ラジオを聴きながら勉強していたことを思い出します。
    確かに勉強するのに個室の必要性は大いに疑問です。
    ワ-クスペ-スで充分というか、できればそこで時々?しばしば?お父さんが勉強している後ろ姿を子供に見せることができれば、さらに効果的なのかもしれませんね。

  2. miz-arch より:

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    ムラーノさん、こんにちは。
    個室=プライバシーの確保=何をしているかわからない・・・という論法です。
    子供の自主性に任せることは大切ですが、折角のすまいなので、
    家族の姿が見える方が大切ではないかなと思っています。
    かつて香港へ行った際に、かれらのパワーの源は何だろうと考えたことがあります。彼らは家族の絆がとても強く、しっかりとした「家庭」がバックボーンにあることが安心して活動できる理由ではないかと思いました。
    住まいのかたちが個人に与える影響の大きさに責任感を感じ、日々設計しています。

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