114 植栽のはなし

写真は最近撮影した我が家の前の様子です。
ヤマボウシの葉が赤く色付き、少しずつ散り始めています。
その向こうには駐車スペースに壁を建てて増築した、新しい事務所の様子が写っています。
壁を建ててといっても、こちらは正面なので、しかも既にある建物の景観を損なわないように、全面ガラス張り(羽目殺しです)となっていますが、あとは必要な採光と換気の窓を設けているだけのシンプルな仕上げです。その様子は、いずれまた。

住まいを建てる際に住まい手の多くは建てもの本体ばかりに目がいきがちですが、その土地にどう根付くかという視点からは「外構(外溝と書くこともある)」も非常に重要になってきます。外構には「車庫」や「庭」などのほか、玄関までのアプローチや隣地との境界を示す「境界ブロック」や「塀」なども含まれ、こちらに要するコストも軽視できません。とはいうものの、昨今の不況やガーデニングブームなども相まって、住まい手自身が施工する事例も増えてきました。その場合には、「こういった植物を植えては如何ですか」というようなアドバイスをすることもしばしばあります。それは住まいと周辺の緑は切っても切れない関係にあり、例えるなら「住まい」という達磨に最後の一筆として入れる目が「植栽」だからです。これは住まいの内部空間についても同じで、一輪でもいいから花が飾ってあると、住まいの中は活き活きとして見えますし、生活に潤いを与えてくれます。
それでは植栽にはいくらぐらいかかるのでしょう。ある方から聞いた目安は「理想は建物本体の1割はかけないと・・・」ということでした。これには、植栽の他の外構も含みますから、実際に植栽にかける費用としては建物本体の3~5%ぐらいでしょうか。しかしながら経済事情等もあり、そこまで費用を捻出できる方は多くありません。私たちの設計した住まいの多くでは工事費の1~2%程度というのが多いようです。私の住まいも費用をかけれなかった方ではありますが、それでも予算はしっかり確保しておきました。植栽は外部の見え方という観点から設計しているのではなく、住まいの中からの見え方(リビングやダイニングからどう見えるかなど)、外部利用の仕方(リビングと庭をどうつなげるかなど)も含めて設計しているので、内部空間がより豊かなったことは言うまでもありません。住まい手のみなさん、春になったら植栽のお手入れ、新植にもご配慮を。(A)