リフォームのはなし

数日前、事務所に「木の家リフォームを勉強する本」が1冊届きました。光栄なことに、この本の巻末に『木の家リフォームの達人』として紹介して頂きました。 (別冊うたかま

昨今の不況の影響なのか、新築ではなくリフォームの受注が増えているようです。私もこれまでに何度か、リフォームのお手伝いをさせて頂きました。新築を依頼されるときも、既存の家がリフォームできそうであれば、リフォームをお勧めしてます。しかし、計画中にいつも悩むことは、「新築よりもリフォームを選択して良かったのか?」ということです。

 

私たち1級建築士は、単に見た目をきれいに仕上げるだけではなく、耐震性、断熱性能をあげるリフォームをするべきだと思っています。ですから私たちは新築と同じくらいの耐震性、断熱性能、快適性を提案しています。そのために住まい手が想定していたよりも費用がかかることもあります。そしてその費用が、場合によっては新築するのと同じくらいになることも。そうなると、壊してしまって新たに立て直したほうがいいのでは?と自問自答してしまうのです。
リフォームの予算は、基本新築より安くするというのが鉄則ですが、床下や天井裏など開けて見ないと分からないというのが現状です。もちろん、予算に応じてリフォームの範囲を検討(耐震補強の範囲、断熱性能の程度など)することも可能です。ですから、住まい手と相談しながらという場合がほとんどです。

それでもリフォームの良いところは、住まいの思い出を継承することの他にも、現在の建築基準法では構造的な解釈の違いなどから難しくなった昔ながらの間取り(ふすま全部あけると、何十帖にもなるような和室)をそのまま残すことができたりします。昔の良いところを残し、生活を改善するようなリフォームは、とても難しいのですが、その分やりがいがあります。今までの生活空間が劇的に変わり、住環境が向上したことで住まい手に喜んでもらえる(新築の場合以上に)・・・というののがいいですね。
リフォームをすることは、前述したようにかなりの知識が必要となります。木構造のことはもちろん、古い材料のこと、温熱環境のことなど新築を計画する以上の知識を求められます。何しろ、何十年も前に建てられたものとの合作になりますから。
この本が出版されることで、よりよいリフォームが広まるよう期待しています。
本屋さんで見掛けたら、一度、手にとって見て下さい。読み応え十分な本だと思いますよ。(K)