学生になりました

建築を志し、学生、修行時代を含めると、ずいぶん時間がたちました。この業界にいると、常に勉強していかないと世の中についていけなくなります。木の構造、温熱環境、材料など常に新しい情報に気をつけていないと、よりよい住まいを作ることはできません。
そこで思い切って「岐阜県立森林文化アカデミー」の病理学科目履修生の学生になることにしました。幸い、入学試験はなく、書類審査にて入学を許可して頂きました。それでも学生証が発行される、立派な学生です。一方で構造を教え、他方で学生になる・・・。なんとも可笑しなものですね。

さて「病理学」とは、聞きなれない学問です。イギリスでは、ずいぶん認知された学問のようで、簡単にいうと、「住まいのお医者さん」という言葉になるかもしれません。アカデミーがこの分野では、日本最先端といえるのでしょうね。
「住まいのお医者さん」になるには、それなりの知識が必要となってきます。リフォームは、そのお医者さんの処方箋になります。私たちはこれまでも、何軒かのリフォームをお手伝いしてきました。その手段、つまり処方箋は、構造的、温熱環境的にその時点でのベストな処方だと思っています。しかし、客観的に判定するような基準がありません。よって、今までのリフォームとは、設計者の力量にゆだねられるあいまいな処方ということになってしまいます。そこで今回、既存の住まいの現状を隅々まで検査し、その処方の仕方を検討することを学び、その処方箋の根拠を明確にすることを目指すことにしました。
内容もとても実践的で、座学のほかに、実際の調査にも参加しなくてはなりません。屋根裏、床下などの調査などを1日かけて調査します。興味深いのは、「常時微動測定」という調査。建物は常に動いており、その周期を測ることで、その建物の強度を予測することができるそうです。さらに最後に、住宅医認定の公開審査もあるようです。最終目標は、住宅医認定ですね。
さっそく5月23日と24日に初回の講義がありました。講義の後、懇親会を開いて頂き、参加された学生さん(とは言っても、殆どが私のように社会人なのですが)の職歴を聞くと、皆さんとても意欲的に活動されていて、更に自分を磨くために受講されたと言っておられました。リフォーム以外のお話もとても興味深く、帰宅するとどっと疲れが出ました。困ったことに、この年で知恵熱が出そうです。宿題もやらないと・・・。(K)