072 LOHAS

写真の「月岡の家」はアトピー症状に悩む住まい手のために設計されました。といっても使用されている素材や工法については普段の設計とあまり変わりません。しいて上げるとすると、いつも以上に通風に配慮し、室内の空気が滞ることの無いような仕掛けを多く組み込んだことでしょう。写真上部に見える「無双窓」(木製のルーバー状の部分)もその一つで、古い民家ではよく見られた通風のための設備(スライドさせることで開閉できます)です。本来は外気に面して設けられたりしますが、ここでは吹抜に設けることで室内の空気や住まい手の声(絆)を通すことに利用しています。

“LOHAS”。。。最近特によく耳(目)にする単語で、ご存知の方も多いと思います。Lifestyles of Health and Sustainabilityの頭文字をとって作られた造語で、直訳的には「健康と(地球環境の)持続可能な社会生活を送るようなライフスタイル」を指しています。要するに1970年代の大量生産・消費の社会へのアンチテーゼとして生まれた運動で、健康と環境保護に対する意識の高い生活をおくるべきであるということを訴えているのです。
私たちの設計する住まいは、ある意味LOHAS的な考えの住まいなのかもしれません。製造エネルギーの高い鉄やコンクリートを使わない国産木材を主体とした自然素材による住まいづくり、過剰な冷暖房設備に頼らない通風とダイレクトゲインを重視した住まいづくり、これらの住まいづくりによってもたらされる健全な生活環境・・・、なるほど、かなりの比率で該当しているようです。それでも「LOHASな住まい」として捉えられることには、若干の抵抗感があります。LOHASという考えに対しては諸手を上げて賛成しますが、おそらく日本では一過性のブームやファッション的、商目的のための言葉として扱われることになるでしょうから・・・。(A)

072 LOHAS” に対して4件のコメントがあります。

  1. atelier-ten より:

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    “LOHAS”。。。この単語も一人歩きして、ブーム・ファッションとしてのみ捕らえれ、危険な状態と感じているところです!?
    地球環境についての様々な考え方や意見を尊重して・・・あえて「この単語」を使わないように心掛けています。

  2. miz-arch より:

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    同感です。さすがはstelier-tenさん。。。他にもリノベーション、バリアフリーなど使用をためらう言葉がたくさんあります。
    使用する際は毎度、前置きとして「正確なニュアンス」を説明しながら・・・という、ややこしいことをしています。

  3. soe より:

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    LOHASという言葉、本当によく目にします
    完全にブームになってしまっていますね
    過剰な冷暖房に頼らない家というのはすごく共感が持てます
    特に冷房の聞いた空間はとても苦手なのでこういった通風の良い家に住むのが理想です

  4. miz-arch より:

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    私のモットーは「ブームは疑え・・・」ですから(笑
    住まいは特に一過性の良し悪しで判断しないことが重要ですね。
    soeさんのお住まいの地域でしたら、北陸と比べてはるかに快適な
    自然環境を取り込んだ住まいができると思います。
    それだけでも羨ましいと思う季節になりました。

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