092 窓の汚れ

高級車メーカーとして知られるメルセデス・ベンツ社(以下MB社)が販売している最も小さな乗用車がこのAクラス(排気量に合わせA170、A200があります)です。

 

かつてのバブル全盛時にMB社が190Eという小型セダンを発表した時でさえ、画期的だとか小ベンツとか絶賛と揶揄の論評があったことを思い出します。このAクラスはその190Eよりも小さい訳で、MB社がこのような採算性の低い小型乗用車を製造することなど当時は想像することすらできませんでしたが、これも時代の流れなのでしょう。

現在訳あって、このAクラス(A170)が私の家のガレージに収まっています。(訳といっても単にsmartの不具合の修理のため、代車として来ているだけですが・・・。)運転してみると、さすがはMB社と感心させられるばかりです。剛性感に富み、日本車に負けないような快適装備、そして大人4人が快適に過ごせるパッケージングなど、本当に良くできた車です。個人的にはリアのデザイン処理が気になりますが、それも補うほどの出来栄えです。・・・と絶賛していたのですが、丁度雨の日の運転後、ふとリア周辺を見てみると気になることがありました。ハッチバックの車には必ずリア・ワイパーがついていますが、このワイパーが拭き取った雨と共にガラス面に付着していた汚れがそのままボディに垂れています。(もっともこの現象はハッチバックの車の殆どに見られますが。)高級感を売り物にするメーカーだけに、ディテールを工夫するだけで解消できなかったのか・・・と思うと少し残念です。
住まいの外部サッシ廻りでも似たような状況(サッシの下端の外壁に見られる線状の汚れ)が見られます。(特に白い外壁でよく目立つこの症状を「鼻垂れ」と呼んでいます。)さらにこの症状が出ている建物を観察しているとある一定の法則があることがわかります。ひとつは軒の出がなかったり庇が小さな部分にある窓であること、そしてもうひとつは風当たりの強いところにある窓であることです。
鼻垂れはサッシのガラス面などに付着(静電気などが原因と思われる)した汚れ(細かい砂や埃)が雨によって洗い流され、サッシ下端の水切り脇に集中し外壁を汚すことで起きる現象です。ですから先に上げた2つの法則の建物では特に目立つことになるのですが、これも雨水の切れ方などディテールを工夫することである程度防ぐことができます。最近四角い箱型の家が増えてきましたが、ディテールまで工夫してある家に出会うことは残念ながら殆どありません。(A)

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