117 構造実験

これは先日、NPO法人WOOD-ACさんと共同で行なった構造試験の様子です。
この試験の目的は床面の耐力(地震などの外力に対して、どの程度の強さがあるか)を確認することですが、ご覧のように過大に歪んだ様子を初めてご覧になられる方は、大丈夫なの・・・?と驚かれることでしょう。

本来であれば、こういった試験を私たちのように小さな事務所が行なうことは稀で、どちらかと言えば学術的な面が大きいので大学などの教育機関などが行なうことが一般的です。けれどもそれでは現場の声が反映されず、非現実的な試験ばかり行なわれたり、机上の空論になることも多いでしょう。そこで私たちが実際の現場状況を反映させたようなかたちで実験を行なうことに意義(現場データのフィードバックと検証)があるのです。
さて本題(今回の実験)に話をもどしましょう。
通常の構造設計においては、写真のような変形を起こすことがないように計算しています。変形量(傾き具合でもいいです)で示すと、写真のおよそ1/10程度で収まるように設計していると説明した方が分かり易いかもしれません。では何故これほど大きく変形させているのかというと、この実験ではそれ以上(想定以上)の力が加わった場合に、どのように破壊されるのかというプロセスも確認しているからです。(つまりは、破壊状況を判断するためにあえて壊していると言った方が尚、分かり易いでしょう。)そして、破壊状況に合わせた補強や構造の考え方を行なうように再び、設計にフィードバックしていくのです。
今回の実験で得られた成果は、床の剛性の考え方(新しい工法)と地震などの際に柱に働く引き抜き力(地震時に家屋が倒壊す要因の一つ)の考え方でした。いずれも今後の設計に際して非常にプラスになる事柄で、これらのデータは直近の設計にす直ちに反映されることでしょう。
今回の実験における唯一の難点は、実験会場まで遠いこと・・・でしょうか(笑)
関係者の皆さま、お疲れ様でした。(A)