000 現場から ~続き間の家~
250328 内装工事
聚楽からクロスへ。能登地震がきっかけになったのかもしれません。聚楽の壁にひびが入り、その補修について悩んだ結果です。
本来、家は常時7Hzほどの体に感じない揺れを常時しています。左官材料は乾燥すると固くなり、まれにある地震に追随できず割れが発生することが多々あります。常時微動については割れることなくきれいな状態を保っています。今回も下地の継ぎ目などに沿って割れが発生してしまいました。そこで次の揺れについての対策を、住まい手さんたちと考えた結果、クロスに変更することになりました。クロスにした場合のメリット、デメリットなども含め、じっくりと考えてもらいました。
メリット
①左官より横揺れにつよい
②万が一割れたとしても左官より補修が安価。
デメリット
①既製品のクロスだと廃盤の可能性がある。
②既製品だと色合わせができない。
③絶対にヒビが入らないとは限らない。
結論。
グランベールなどで取り入れた、下張りクロスの上にペンキという方法とることになりました。ペンキにするとかなりの色の選択が可能になり、さらに汚れた際に塗りなおしが簡単にできます。何回も塗りなおしが可能というところも魅力です。価格の面では、今回住まい手さんたちに施工してもらう事でペンキ代のみの支出となり、金額も押えられそうです。
既存の表面の聚楽(厚さ数ミリ)を落とす作業はスプレーで水を吹きかけて根気強く搔き落とし、その後表面の不陸調整などもキチンとしてもらって下張りクロスを貼ることになります。丁寧に作業を進めてくれている職人さんに感謝です。
250312 内部仕上
もうベテランといってもよい棟梁。今日の現場でのつぶやき。「一生懸命考えたところなのに、みえなくなっちゃうんだよなー」
現場の写真を携帯に送ってきます。なにもコメントもなく送られてくるので、スルーしてしまうのですが、今回は現場にて、なぜここにMクロス構造用合板にクラフト紙が貼られている面材)が施工されているのだ!という話から。耐力壁に構造用合板を施工するので、Mクロス(は指示しなかったはずよと。そこからここに至るまでの熟考の説明。最後に、前述のつぶやきが入ります。
以前にも別の棟梁からも言われた記憶があります。そんなもんです。写真は、説明を受けた私と棟梁だけがわかる納まり。きっと誰もわからない。でも、そのおかげできれいに納まりました。ありがとう。
250226 左官壁
和室のしつらえとしてよく採用される左官。続き間の家にも聚楽が施工されています。写真の床の間は地震の影響で割れた壁を補修したところで、このあと聚楽で再施工することになります。
一般的に左官材料は乾燥すると固く硬化し、建物が揺れた際どうしてもちり際や、ボードの切れ目にヒビが発生してしまいます。外壁にも言えることですが、避けることはできません。こちらの住まいは和室以外にも廊下などに左官壁があり、和室のようにどうしても左官壁にしたいというところを除いて、今回の工事でクロス貼りに変更することにしました。クロス貼りにしたからといってひび割れが完全になくなるわけではありませんが、割れにくいということと、補修費用が左官より安価なことを考えて変更しています。クロス貼り仕上にも難点はあります。一番気になるのは、選んだクロスが今後の補修などの際に廃盤になっている可能性があります。その場合は、施工した面が全面張り替えとなります。そこで今回、塗装の下塗り用のクロスを施工し、塗装仕上げとすることになりました。木窓の家や、グランベール伊豆などで施工した塗料です。万が一汚れたときなどはその上から補修することもできま、その気になれば色も変更することもできる優れもの。面積は少ないのですが、住まい手と一緒にセルフビルドする予定です。
250212 耐震改修
半年ほど前に来所されて、住まいの耐震改修に関する相談を受け、先日工事がスタートしました。
工事目的が明確でした。今の家の耐震が優先順位の1位。
昨年の能登半島地震で和室の左官のひび割れを確認、市役所にも見に来ていただいたそうです。外部を見る限りは何ともありませんとのこと。当初は補助金のもらえる耐震改修を考えておられたようですが、どうもしっくりこないと事務所に相談に来られました。
耐震性能の改善が必要なのはわかっているが、耐震診断を受けたところ、あらゆる場所が耐力壁で覆われてしまうとのことや、現在の住まいの好きな佇まいは残したい。。。というこのジレンマでどのようにしたら良いのだろうと悩んでおられました。
いざご自宅へ伺うと、素敵な天井と2間続きの和室でした。住まい手さんの気持ちも良く分かります。そこで、補助金をもらう古メニューの耐震改修ではなく、必要な箇所だけを要望に応じて補強していくような部分改修を提案しました。
まず最初手を付けた部屋は2階部分の畳を外して、構成している梁が外れないように金物を設置し、床を強くする対策をしています。しつらえを残してできる耐震補強もあります。使用している梁は大きくてしっかりしているので、その梁が地震で外れないようにしました。
耐震診断をして、がっくり肩を落とされてそのまま1年を過ごされた方が多いと聞きます。命を守る住まいを今一度考えてほしいです。