雨端のある家

敷地から見える開放的でのどかな田園風景。その反面、プライバシーの確保や強風対策などを十分に考慮する必要がありました。そこで、深い軒下を持ったかたちとすることで、外に対しての「間」(緩衝となる空間)をつくり、また内部空間を外部に広げるための空間としての「雨端(アマハジ)」のある住まいを提案しました。
アマハジは沖縄の民家にある大きな庇とその下の空間を表す言葉で、一般的に外部の柱は自然に近い形の木を使っています。雨端は玄関のように人が出入りする場として利用され、それだけ近隣住民の関係が近いことの表れでもあります。
この住まいでは「雨端」の再現を目的としている訳ではないので、外部の柱には普通の製材(角柱)を使用し、沖縄の民家とは材料や使い方は異なり、この空間を象徴する意味で「雨端のある家」と呼ぶことにしました。
限られた予算の中から半屋外の空間を作るという事は、住まい手が十分に使いこなせ、費用以上の利用価値が高いという判断のもとにできた、ちょっとした贅沢な場所です。内部空間は住まい手にとって最小限に整え、広大な屋外へ通じる半屋外空間をもつことは、外向きの暮らしが上手な住まい手にとってかけがえのない場所であり、住まいの中を狭く感じさせないための心理的な効果もあります。
雨端本来の「人が出入りする空間」としての機能に加え、家庭菜園など外部作業の休憩や子供たちの遊び場として、あるいは私たちの想像もつかないような使われ方をしていくのか、どんな発展や変化をしていくのか、とても興味深いです。

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