ななめ壁の家
住宅街のなかのポケットのように空いていた敷地は東西面が道路に面し、南北に隣家が迫るような場所でした。隣地からの視線を気にすることなく暮らせるような明るい室内、住まい手の要望だった左官壁と板張りの壁をどのようにまとめるかが課題でした。
建物の影響が少ない南面の隣地のカーポート部分から主となる採光をとり入れ、ダイニング上部に大きく広げた吹き抜け空間は、ゆるやかに傾斜した壁と頂点の局面により過剰に高く映らないようコントロールされ、キッチン上部に差し込まれたデッキスペースと相まって、この住まいの印象的な空間を形成しています。また、リビングの畳空間と外部ウッドデッキをつなぐダイニングは一段下げた土間空間として、連側的に空間がつながるような設計となっています。プライベート空間を主体とした2階は、回遊性を持った空間とし、面積以上の広がりと家族構成の変化に柔軟に対応できるような計画としました。
この自由で楽しい住まいのなかで、ご家族のアンサンブルがどう奏でられていくか、とても楽しみです。
令和3年度とやま県産材建築物コンクール 住宅部門 優秀賞
雑誌掲載:「家づくりナビ 2021年5-6月号」「家づくりナビ 2021年秋号」