こもれびの家

10年ほど空き家になっていた住まいを、再び暮らせるよう改修するお手伝いをしました。大工だったお父さんが建てられた廊下の無い田の字プランの発展形で、さらに1列加わった間取り。座敷も立派。天井は竿天井になっていて、漆塗りのように黒く光っていました。ただ、真ん中の一列は直接採光が無いため、かなり薄暗い状態でした。周囲を木立に囲まれ、最初に訪れた時は紅く染まったモミジが美しかったのを覚えています。
住まい手の要望にあったウッドデッキを設けることから発想を進め、住まいの一部を外部化することで、天候に左右されないウッドデッキ空間と、これまで暗かった内部へ光が届きやすいかたちを考え、特に日差しの強い季節には、周囲の木立を利用した木漏れ日が落ちるような住まいになるよう計画を進めました。
この住まいでは、状態も良く、丁寧に仕上げられていた鴨居から上部をそのままの保存し、鴨居から下を重点的に直すことにしました。家全体を改修すると工事金額が多額になってしまうため、暮らしに必要な分だけ快適に暮らせるようにしています。床下の防湿と床下・壁・天井の断熱をしっかりと施工し、冬も暖かく過ごせるよう改修しています。大きすぎる内部空間を、ちょっと贅沢に外部化したウッドデッキ空間は、目線を遮ることなく周辺の緑へと続いています。もともとの屋根があるので、雨が降ってもしっとりとした風景を楽しむことができます。もともとの玄関も屋外かして、外壁側の部屋を玄関土間としました。ここにはテーブルを置かれる予定で、住まい手の楽しそうな暮らしぶりがい伺え、これまでの改修とは一味違う古民家風の改修となりました。空き家が増えていく昨今。これから住まいの改修を考える方に、こんな方法もあることを知ってほしいと思わせる住まいとなりました。