033 補強金物
写真は柱と梁の接合部を撮影したものですが、左は上棟直後、右は2日後に撮影しました。
木造の建物の構造的な強さは、木材の組み方や使用する木材の強度の他、継手や仕口と言われる木材同士の接合部の強度によって決定されます。特に継手や仕口は構造計算によって得られる耐力(建物が地震や風に耐えるための力)を出すために重要になってきます。そこで計算で求められる耐力を確保するために補強のための金物を使用するのですが、私たちは写真のように現場で直接木材に使用箇所を指示することで、図面の読み間違いや、取り付け箇所の誤りがないように監理しています。ちなみに写真で使用されているのは「山形プレート」という金物で、この部分の仕口(長ほぞ差し込み栓打ち)では不足している強度を確保するために使用しています。
私たちの事務所では、あまり多くの金物を使用しません。それは、できることなら木の組み方や耐力壁(地震や風などに耐えるための壁)の配置によって必要な強度を確保できている方が安全で良い建物であると判断しているからです。現在のところ、主にハンマーナットという金物を主要な金物として構造上重要なところに設置し、その他必要なところにのみ写真のような金物を設置することにしています。
阪神・淡路大震災のあと崩壊した建物を見てきましたが、崩壊した建物の殆どが、使用されている木材が必要な大きさではなかったことや継手・仕口の不適切な施工による強度不足が原因でした。建築基準法で構造等について詳細が定められる以前の建物が多かったとはいえ、私自身「こんな事があるのか?」と理解に苦しみました。かといって昨今話題になっている悪徳業者のように、必要以上に構造金物を取り付けている(しかも間違った施工で補強になっていないのは論外です)ような建物は、木材に必要以上のストレスを加えるので芳しくありませんし、大リーグ養成ギブスのようで美しくありません。何事にも自然が一番です。(A)
“033 補強金物” に対して2件のコメントがあります。
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折角頂いたaiarchiさんのコメントを誤って削除してしまいました(冷汗
申し訳ありません。(以下、返信用に作成したコメントです。)
幸い、私はよく図面を見てくれる大工さんと仕事ができていますが、それでも見落としだけは怖いので今回のような監理方法をとっています。写真では分かりにくいですが、透明なテープの上に使用金物の表示を書き込んでいますが、次回以降はもう少し目立つように緑のテープに書こうかなと考えています。
D-ボルトの使用方法はMs建築設計事務所(http://www.ms-a.com/)のHPに詳細がありますので興味があるようでしたらDLしてみて下さい。初めての大工さんでも一度加工すると「意外と簡単だね」と言ってもらえています。
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ハハハ、お気になさらずに・・・。たいした意味あるコメントではないので・・・。D-ボルトの使用方法は雑誌「住宅建築」などで拝見したことはあります。Msの三澤文子さんは、大学の先輩に当たる(学科は違いますが)ので、以前から興味を持って作品を拝見しております。なかなか使用する機会がない・・・というか、一歩踏み出せないでおります。