愛宕町の家
富山市の中心部にある住宅地で長年にわたり商店を営んできた住まいは、やがて周辺の戸建て住宅がアパートやマンションに変わり、気が付けば大きな建物に囲まれるようになっていました。その商店も店じまいされることになり、また息子さんご家族との同居を機に、二世帯住宅へ建て替える計画が始まりました。
敷地の南面はアパートの廊下と駐車場、西面はマンションのバルコニー、東面は道路とスーパーの買い物客、北面はほどほどの交通量がある道路…と、すべての面からの視線をケアしなければいけない状況において、明るく開放的な住まいをつくるにはどうしたら良いか。一般的には塀を設け、プライバシーを保ちながら開放的な窓を設ける案や、中庭を設けることでプライバシーと明るさを担保するような計画が考えられるが、隣接のマンションからの離隔距離が小さく、のぞき込みなどの懸念や、敷地の大きさなどの条件から中庭や塀で囲まれた庭を設けるような案は難しい状況でした。そこで、外壁に設ける窓の位置やかたち、大きさなどを十分に検討することとなったのですが、敷地条件の良い地方では、比較的珍しい、閉塞的にならないギリギリを求める設計となりました。
雑誌掲載:「すみたく本2015」