124 近い山の木を使うということ

ふとしたご縁で、新聞社が発信するwebページに掲載されることになりました。設計のプロとしての紹介。ちょっと照れくさいですね。
さて、そのプロたちに質問がありました。「県産材を使うメリット」を教えてほしいという内容でした。その質問に私を含め数名のプロが回答されています。正直なところ、私は回答に困りました。文章を書いていくと、あっという間にA4サイズ2枚を越えてしまいます。これではいけないと、少しばかり内容を絞って回答させて頂きました。
※写真は魚津の木でつくった「さんかくやねのいえ

県産材(近い山)の話を始めると、日本の林業の話、二酸化炭素の話、伝統工法の話についてまで、説明することになってしまいます。答えられたプロも同じ気持ちであることを期待していますが、林業の話まで考えている方は少ないのではないかと感じました。また、ご自身で県産材を手にされている方も少ないように思えました。
私たちは、県産材に限定するのではなく、「近い山の木」という材を使おうと思っています。近くで育った杉で家を作ることは、とても環境負荷が少ないといえます。そして、花粉症対策にもなります。年老いた杉(樹齢の大きい杉)は、二酸化炭素の吸収が弱く、花粉を多く出そうとします。その杉を切り、新しく植林することで花粉の量を相対的に減らすことができるのです。他にもたくさんのメリットがあります。また、杉の材料を出した山の所有者は、自分の木を使った住まいを確認することができます。つまり、相手の顔が見えるので、より意欲的に、責任を持って材料を出すことになります。それは、住まい手にとってもとてもいいことです。
長らく県産材は構造材に不向きだと今まで言われてきました。しかし、山側の努力によって徐々に改善され、最近ではとても品質の良いものが流通しています。それでも日頃からいろんな産地の木を見ている私たちが見ると、品質、乾燥など、まだまだ改善するところはあります。品質が良くないからと使わないとか待っているのではなく、私たち設計者が山側に積極的に関わることで、品質が更によくなり、多くの住まい手に安定して供給できるようになると確信しています。そのためには、設計者もたくさん勉強しなくてはなりません。
まずは、自分たちが行動を起こして。
近いうちに良い報告を期待してください。(K)