043 MPV

FIAT社(イタリア)から2003年4月~2004年11月に販売されてい(イタリアでは2000年から販売されていました)たムルティプラというMPV(マルチパーパスビークル:多用途車)です。2005年のマイナーチェンジとともに新しい顔(デザイン)となったため、国内でこの車に出会うことは非常に貴重なことと言えるでしょう。

フランスへ旅行した際に、初めてこの車を見たときは正直戸惑いました。「何やコレ!」。。。(しばらくの沈黙)。。。言葉になりません。まるで未知との遭遇です。何故このようなかたち(まるでウーパールーパー)となって世に送り出されたのだろう。世の中の自動車メーカーがこぞって合理化の名の下に成型しやすいかたちとなっていくのとは対照的な姿にとても興味が湧いたのを覚えています。
間もなくして、この車が人間工学に基づきデザインされたのだということが分かりました。ルーフは雨がたれないように凹まされ、ライトは人間の目が照射先を見やすいように2段(フォグランプを含めると3段)に分けられています。そして最も前衛的だったのが横3列×縦2列のシート配列です。現在は国内某社が模倣していますが、当時はとても新鮮でした。その利便性が認められ、イタリア本国ではタクシーとして活躍しているそうです。
ムルティプラは「機能」をそのまま「かたち」にした例の一つでしょう。何も知らなければ私の中で「醜いアヒルの子」で終わっていたに違いありませんが、実を知るとそれなりに可愛く見えてくるから不思議です。まさに「痘痕も笑窪」ですね。(A)