113 音のはなし

私が説明するまでもありませんが、小型でも良い音が聞けることで有名なBOSE社の小型オーディオ“Wave Music System”です。
1999年に発売した「WaveRadio/CD」の後継機として2005年から発売されています。
時間やラジオの周波数を表記するメインパネルの他、CDの挿入口以外はスイッチも見当たらないシンプルな形状が気に入っています。
size:W368mm×H106mm×D219mm

事務所を拡張したのを機にそれまで使用していた小型オーディオを新しい事務所スペースへ移動し、住居部分に満を持して登場したこの小型オーディオ。音の良さ(特に低音の再現性)は以前から定評があり、友人の家でも実体験を済ませていました。
故障などの特別な理由が無い限り新たな購入は控えるという家訓にのっとり、欲しくても我慢(主に奥さん)し続けただけあって、初めてスイッチを入れた後は色んなCDを取っ替え引っ替えしては音の違いを堪能しました。
世のオーディオマニアの方々にとっては「何だ、そんなもん」と思われるかもしれませんが、私たちは「好きなときに好きな場所で聴く」ことを優先としているため、これ以上望むべくはありません。
「小さくても良い音で・・・」。最高のコンセプトです。
以前、あるお宅を訪ねたとき、その住まい手が「木の空間は音質が良い」と満足そうにされていました。その住まいは私たちが設計するような自然素材に囲まれた空間で、そこには100w以上の出力を持つ高価なスピーカーとそれに見合った設備が整えられていました。私は前に務めていた事務所で音の良い空間について学んだり、音響の専門家と打合せをする機会もあったので、それは空間の広がりや気積に関係する部分が多いのではと直感しましたが、ご主人曰く「音の柔らかさ」が違うそうです。こういいった感覚的な表現になると個人差が働くので何とも答えようがありませんが、音の広がりが良かったのは事実でした。
さて私たちの住まいではどうでしょう。答えは簡単。音は良いのです。前述の以前から所有していた小型オーディオ(性能的には対したこと無い)でも良く聞こえましたし、今回購入した“Wave Music System”なら尚更良く聞こえます。それは普通の住まいに比べて気積の大きな空間を設計していることもありますし、杉板などの無垢材の内装は豊かな一次反射音(特に低音)を確保するのに役立っているからでしょう。
先日、「桜町の家」を久しぶりに訪れましたが、こちらでは“Bang & Olfsen”社のオーディオが心地よい音色を奏でていました。こちらの住まいも大きな気積で音の広がりが感じられるような空間、そして無垢材の空間で、静かなBGMが生活の中に溶け込んでいるようでした。(音響機材が趣味という方は別にして)どんなシステムで聞くかということより、どんな音楽をどのような空間でどんなシチュエーションで聞くかということが生活にとって重要なんだなと改めて感じることができました。(A)